2012年 07月 20日
シリア内戦の行方は? |
シリアでの内戦は益々激化している。
1986年、ドーハ駐在時、休日を利用して2泊3日でシリアに旅したことがある。独裁政権下ではあったが、それほど陰鬱な空気ではなかった。街を歩いていてもバス旅行でも珍しい日本人に笑顔で話しかけてくる若者がいた。
“雪のように白い肌”というが、女性はほんとうに白い肌をしており、人形のような顔をしている者が多かった。世界を歩いている商社マンが、「シリアは世界で一番、美人が多い」と言ったのもあながち誇張ではないと思ったものだ。アレッポ、パルミラは紀元前から栄えた都市や遺跡であり、いずれも世界文化遺産である。
1986年当時は訪れる観光客は少なかったが、最近は日本の旅行会社のツアーにも組まれるようになってきていた。
そういうなかでのシリア内戦の勃発に複雑な気持ちがある。
内戦は、反政府側の勢いが増しているように見える。もう妥協はなくどちらが勝利するかというところまで戦闘が続きそうである。アメリカは、反イスラエル、反アメリカが鮮明なアサドを取りあえず排除したい。チベット、ウイグル、チェチェンなど自国に反政府勢力を抱える中露は、アサドを支持する。国連での両陣営の溝は埋まらず、安保理も機能不全の状態である。
仮にシリアの反政府側が勝利して政権を転覆させたとしても、それが民主化につながるわけではないところにこの地域の複雑さがある。この内紛は組織によるものにしろ市民によるものにしろ民主化運動から起こったものではないからである。紛争の根本には、シリア国民の10%しか占めていないイスラム教アラウイ派による独裁政権と、70%を占めるスンニ派の宗派対立がある。イラクでは少数のスンニ派であるフセインが多数のシーア派を統治していたが、シリアはいうならばその逆である。
フセインを排除した後も政情が安定しないイラクと同じように、たとえアサド政権が倒れたとしてもシリアの政情は混迷を続けるだろう。必ずしもアメリカが望むような政権になるとは限らない。
駐カタール・シリア大使館発行ヴィザ
1986年、ドーハ駐在時、休日を利用して2泊3日でシリアに旅したことがある。独裁政権下ではあったが、それほど陰鬱な空気ではなかった。街を歩いていてもバス旅行でも珍しい日本人に笑顔で話しかけてくる若者がいた。
“雪のように白い肌”というが、女性はほんとうに白い肌をしており、人形のような顔をしている者が多かった。世界を歩いている商社マンが、「シリアは世界で一番、美人が多い」と言ったのもあながち誇張ではないと思ったものだ。アレッポ、パルミラは紀元前から栄えた都市や遺跡であり、いずれも世界文化遺産である。
1986年当時は訪れる観光客は少なかったが、最近は日本の旅行会社のツアーにも組まれるようになってきていた。
そういうなかでのシリア内戦の勃発に複雑な気持ちがある。
内戦は、反政府側の勢いが増しているように見える。もう妥協はなくどちらが勝利するかというところまで戦闘が続きそうである。アメリカは、反イスラエル、反アメリカが鮮明なアサドを取りあえず排除したい。チベット、ウイグル、チェチェンなど自国に反政府勢力を抱える中露は、アサドを支持する。国連での両陣営の溝は埋まらず、安保理も機能不全の状態である。
仮にシリアの反政府側が勝利して政権を転覆させたとしても、それが民主化につながるわけではないところにこの地域の複雑さがある。この内紛は組織によるものにしろ市民によるものにしろ民主化運動から起こったものではないからである。紛争の根本には、シリア国民の10%しか占めていないイスラム教アラウイ派による独裁政権と、70%を占めるスンニ派の宗派対立がある。イラクでは少数のスンニ派であるフセインが多数のシーア派を統治していたが、シリアはいうならばその逆である。
フセインを排除した後も政情が安定しないイラクと同じように、たとえアサド政権が倒れたとしてもシリアの政情は混迷を続けるだろう。必ずしもアメリカが望むような政権になるとは限らない。
駐カタール・シリア大使館発行ヴィザ
by rakuseijin653
| 2012-07-20 14:20
| 政治
|
Comments(1)
Commented
by
rakuseijin653 at 2012-08-22 15:05
8月20日、アレッポでJapan Pressの山本美香さんが政府軍の銃撃を受け死亡しました。職務とは言え悲しいニュース。改めて訪れたアレッポの街のことを思います。
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