2013年 02月 17日
イギリス人でも間違う英語 |
英語が母国語であるイギリス人は誰でも、われわれ日本人よりちゃんとした英語の文章を書けると思いがちである。しかしこれは一種の錯覚だ。日本人だからと言って必ずしもちゃんとした日本語の文章が書けるとは限らないように、イギリス人のなかにもそのような者がいるのは、考えればあたりまえのことである。
カタールで使っていたイギリス人秘書は、亭主の転勤などに伴って本国から来た者が多く、秘書を職業とする専門教育を受けていないので、こちらが英国人なら当然と期待した文章を書けない者がいた。
ここでは、そういう書き言葉のことではなく、教養のあるイギリス人でも話し言葉として文法的に間違った表現をしているという話。それを指摘したのは、The Washington Post紙のロンドン支局員であるT.R.Reid(アメリカ人)。彼がThe International Herald Tribune(April 22,1999)に投稿した記事のスクラップから以下いくつか抜粋。
最初にはなんとエリザベス女王のスピーチが例に挙げられている。
"young can sometimes be wiser than us."(Queen Elizabeth ll)
"The right honorable gentleman's reply demonstrates the difference between he and I."(The secretary of state for Northern Ireland,Marjorie Mowlam)
"We have said that each member should make their own choice."(The prime minister,Tony Blair)
"Every person in Northern Ireland can vote as they want."(T.Blair)
"Almost every driver will find their taxes increased"(BBC newsanchor)
"If someone wants to pay in euros,they can."(the spokesman for a national retail chain)
Reid記者は女王のスピーチ(annual address)を聞いて、「え?than us だって?」とおかしいと思い、「The Oxford Guide to English Usage」で調べた。そしてやはり女王の語法が間違っていることを確認したと言う。これらの例は、われわれも高校時代、正誤問題試験で経験したことである。本場のイギリスでこんなに“いい加減な”使われ方をしているとは意外であった。しかし文法的に間違った表現であっても、ここまで“普通に”使われているということは、もう既にそれは、常用的な語法になっているということなのだろう。実際、単数可算名詞(each、everyなど)について言えば、三省堂の「グローバル英和辞典」「somebody」の項に「通例単数扱いであるが、(話)ではtheyで受けることもある」と説明している。正しい文章を書くことを職業とするReid記者はロンドンに来て1年住んで、これらが耳障りになったようだ。
彼は、アメリカ人もいつも「Oxford 」の基準をパスできるような言葉遣いをしているわけではないとしながらも、イギリスでは公の場でも適正な言葉遣いがなされていないことに違和感をもったのだ。特に、女王のスピーチは宮廷スタッフがチェックしているだろうに、というわけだ。
この記事の中で、イギリスで最も人気のあるというテレビアンカー・Trevor McDonaldの、「世界で15億の人間が英語を話しているが、英国に住んでいるイギリス人はその中の僅か5%である。英国人より大多数の、外国で英語を使っている者の方が、正しい文法を心掛けているかもしれない」という言葉を引用しているが、その指摘は当たっているようだ。
The International Herald Tribune(April 22,1999)
カタールで使っていたイギリス人秘書は、亭主の転勤などに伴って本国から来た者が多く、秘書を職業とする専門教育を受けていないので、こちらが英国人なら当然と期待した文章を書けない者がいた。
ここでは、そういう書き言葉のことではなく、教養のあるイギリス人でも話し言葉として文法的に間違った表現をしているという話。それを指摘したのは、The Washington Post紙のロンドン支局員であるT.R.Reid(アメリカ人)。彼がThe International Herald Tribune(April 22,1999)に投稿した記事のスクラップから以下いくつか抜粋。
最初にはなんとエリザベス女王のスピーチが例に挙げられている。
"young can sometimes be wiser than us."(Queen Elizabeth ll)
"The right honorable gentleman's reply demonstrates the difference between he and I."(The secretary of state for Northern Ireland,Marjorie Mowlam)
"We have said that each member should make their own choice."(The prime minister,Tony Blair)
"Every person in Northern Ireland can vote as they want."(T.Blair)
"Almost every driver will find their taxes increased"(BBC newsanchor)
"If someone wants to pay in euros,they can."(the spokesman for a national retail chain)
Reid記者は女王のスピーチ(annual address)を聞いて、「え?than us だって?」とおかしいと思い、「The Oxford Guide to English Usage」で調べた。そしてやはり女王の語法が間違っていることを確認したと言う。これらの例は、われわれも高校時代、正誤問題試験で経験したことである。本場のイギリスでこんなに“いい加減な”使われ方をしているとは意外であった。しかし文法的に間違った表現であっても、ここまで“普通に”使われているということは、もう既にそれは、常用的な語法になっているということなのだろう。実際、単数可算名詞(each、everyなど)について言えば、三省堂の「グローバル英和辞典」「somebody」の項に「通例単数扱いであるが、(話)ではtheyで受けることもある」と説明している。正しい文章を書くことを職業とするReid記者はロンドンに来て1年住んで、これらが耳障りになったようだ。
彼は、アメリカ人もいつも「Oxford 」の基準をパスできるような言葉遣いをしているわけではないとしながらも、イギリスでは公の場でも適正な言葉遣いがなされていないことに違和感をもったのだ。特に、女王のスピーチは宮廷スタッフがチェックしているだろうに、というわけだ。
この記事の中で、イギリスで最も人気のあるというテレビアンカー・Trevor McDonaldの、「世界で15億の人間が英語を話しているが、英国に住んでいるイギリス人はその中の僅か5%である。英国人より大多数の、外国で英語を使っている者の方が、正しい文法を心掛けているかもしれない」という言葉を引用しているが、その指摘は当たっているようだ。
The International Herald Tribune(April 22,1999)
by rakuseijin653
| 2013-02-17 17:03
| 言語(力)
|
Comments(0)