2013年 07月 30日
英国王室には“宮内庁病院”はない |
イギリスのキャサリン妃が、22日に出産、翌日には退院した。その模様を繰り返し伝えるテレビに、他国のことに騒ぎすぎると思いながらも、日本の皇族とはまるで違う王子夫妻の自然な立ち振る舞いに、親しみを覚え祝福の気持ちをもった日本人も多いのではないだろうか。
病院の出口は直接一般道路に面し、そこで王子夫婦が冗談を交えながら国民と喜びを分かち合う。日本の皇族には考えられない情景である。国の歴史、伝統、国民性の違いがあるにしても、王室、皇族と国民の距離の違いは余りにも大きい。日本の場合、「国民に親しまれる皇室」という掛け声はあっても、皇室に対する“尊崇の念”を保つには、恐れ多くてもったいない存在にしておかなければならないのである。政治権力者は、国民が皇室に対してあまり親しみをもっては困るのだ。皇族には、人間性を犠牲にしても、言動に“尊厳さ”を表すことが強いられているのである。
日本の皇族は、宮内庁病院で出産するが、キャサリン妃が出産した病院は、一般市民も診療を受けることができるセントメアリー病院であり、“宮内庁病院”ではない。イギリスにはそもそも、日本の宮内庁病院に相当する病院はないのだ。
文藝春秋4月号、ノンフィクションライター奥野修司氏の、「天皇家と東宮家『それぞれの家計簿』」によれば、イギリスだけではない。スペイン、オランダもそうである。国王と言えども、その病気の第一人者がいる病院が選ばれる。
その宮内庁病院がいかに無駄な存在であるか、奥野氏はその経営実態を示している。
同病院は、98年、MRI(Magnetic Resonance Imaging=磁気共鳴画像装置)を導入した。前年、皇后がヘルペスで初めて外部の病院に入院したが、宮内庁は、宮内庁病院にMRIがなかったからそうなった、という理由によってであった。しかし、そのリース料が年間一億円という高額機器の割に、稼働率があまりに低いため会計検査院が問題にしたほどなのだ。(別表*)
宮内庁病院は、皇族のほか宮内庁職員、皇宮警察及びその家族、職員の紹介を受けた外来者を受診の対象としている。MRIについては、高額リース料であるから千代田区医師会を通じて、企業の診療所にも使ってもらうようお願いしたが、実績はむしろ減っている。
手術件数は、年間11件で、ほとんど病院の体をなしていない。外来患者は、一日平均20人、職員は、医師12名、看護師26人を含めて39名、患者が職員の半分しかいないという、普通ではありえない病院なのである。
この5年で内廷皇族が入院したのは4件で、いずれも東大病院だった。入院以外で両陛下が宮内庁病院を利用したのはほとんど検診だった。それでも宮内庁は、「民間の病院では動静が知れ渡り、病気などの個人情報、知られたくない機密が漏れてしまう」と頑なに宮内庁病院の必要性を説く。
奥野氏は、「宮内庁病院はほとんど病院の体をなしていない、果たしてこのままでいいのだろうか」、とその存在に疑問を投げかけているが、本来、皇族専用の病院であるから、採算や効率を問題にしても仕方がないことである。国民はそれを是として受け入れているのだ。イギリスやスペイン、オランダのように効率化して税金の無駄使いをなくした方がよい、と国民が“目覚める”かどうかの問題である。
病院の出口は直接一般道路に面し、そこで王子夫婦が冗談を交えながら国民と喜びを分かち合う。日本の皇族には考えられない情景である。国の歴史、伝統、国民性の違いがあるにしても、王室、皇族と国民の距離の違いは余りにも大きい。日本の場合、「国民に親しまれる皇室」という掛け声はあっても、皇室に対する“尊崇の念”を保つには、恐れ多くてもったいない存在にしておかなければならないのである。政治権力者は、国民が皇室に対してあまり親しみをもっては困るのだ。皇族には、人間性を犠牲にしても、言動に“尊厳さ”を表すことが強いられているのである。
日本の皇族は、宮内庁病院で出産するが、キャサリン妃が出産した病院は、一般市民も診療を受けることができるセントメアリー病院であり、“宮内庁病院”ではない。イギリスにはそもそも、日本の宮内庁病院に相当する病院はないのだ。
文藝春秋4月号、ノンフィクションライター奥野修司氏の、「天皇家と東宮家『それぞれの家計簿』」によれば、イギリスだけではない。スペイン、オランダもそうである。国王と言えども、その病気の第一人者がいる病院が選ばれる。
その宮内庁病院がいかに無駄な存在であるか、奥野氏はその経営実態を示している。
同病院は、98年、MRI(Magnetic Resonance Imaging=磁気共鳴画像装置)を導入した。前年、皇后がヘルペスで初めて外部の病院に入院したが、宮内庁は、宮内庁病院にMRIがなかったからそうなった、という理由によってであった。しかし、そのリース料が年間一億円という高額機器の割に、稼働率があまりに低いため会計検査院が問題にしたほどなのだ。(別表*)
宮内庁病院は、皇族のほか宮内庁職員、皇宮警察及びその家族、職員の紹介を受けた外来者を受診の対象としている。MRIについては、高額リース料であるから千代田区医師会を通じて、企業の診療所にも使ってもらうようお願いしたが、実績はむしろ減っている。
手術件数は、年間11件で、ほとんど病院の体をなしていない。外来患者は、一日平均20人、職員は、医師12名、看護師26人を含めて39名、患者が職員の半分しかいないという、普通ではありえない病院なのである。
この5年で内廷皇族が入院したのは4件で、いずれも東大病院だった。入院以外で両陛下が宮内庁病院を利用したのはほとんど検診だった。それでも宮内庁は、「民間の病院では動静が知れ渡り、病気などの個人情報、知られたくない機密が漏れてしまう」と頑なに宮内庁病院の必要性を説く。
奥野氏は、「宮内庁病院はほとんど病院の体をなしていない、果たしてこのままでいいのだろうか」、とその存在に疑問を投げかけているが、本来、皇族専用の病院であるから、採算や効率を問題にしても仕方がないことである。国民はそれを是として受け入れているのだ。イギリスやスペイン、オランダのように効率化して税金の無駄使いをなくした方がよい、と国民が“目覚める”かどうかの問題である。
01年東大病院に、「国賓級のVIPも利用できる特別室ができており、皇族も緊急時の医療を受けることが宮内庁のコンセンサスになっている」というから、中途半端な宮内庁病院の存在価値は問われるべきであろうが、わが国民にその意識はなかろう。
*文藝春秋4月号「天皇家と東宮『それぞれの家計簿』」より」 出産翌日に退院するキャサリン王妃とウイリアム王子(画像はネットより)
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*文藝春秋4月号「天皇家と東宮『それぞれの家計簿』」より」
by rakuseijin653
| 2013-07-30 08:00
| 天皇(制)
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