2013年 12月 14日
タカ派の平和ボケ |
石原慎太郎が、民間人所有の「尖閣諸島を都が買い上げる」という動きをしたことがきっかけで、日中関係は緊張が高まるばかりである。まるで両国は冷戦下の敵対関係にあるかの様相である。緊張を煽る国内勢力は、日中が友好条約を結んでいる友好国関係にあることはまったく頭にないごとくだ。
石原の、外交問題に発展することを知りながらのこの行動は、無責任極まりない。国家の最高権力者たる首相がこれを抑止すべきであったが、そうすれば右翼だけでなく、自民党タカ派から轟々たる非難の声があがったであろう。
そして今、彼らタカ派の望みどおり尖閣を国有化した結果、それは中国の思うツボにはまり、政府は相手のペースに翻弄されているのである。
そこで右翼勢力はますますいきり立つ。「戦時中、戦争を煽ったのは新聞だ」と非難するその口で、売文業者があたかも戦争が始まるかのごとく緊張を煽っている。「日中関係の悪化で経済的に困るのは中国の方だ」とか、軍事評論家なる者までしゃしゃり出て「戦力は日本の方が上だ」とか稚児のような虚勢に陶酔している。そんなことは、防衛の制服組が黙って有事に備えていればいいことだ。
同じ敗戦国のドイツと比較すると、その振る舞いは大人と子供の違いだ。
フォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使は、「ドイツは近隣国に侵略した国として、戦後自分の考えを他国に押し付けるのを控えた。それは最初、政治家が選び取った戦略であったが、今はむしろ文化というべきでしょう」と語っている。ドイツには「自制の文化」があるというのだ(朝日新聞・2013年10月3日)。
シュタンツェル大使は「先の大戦で近隣国をドイツは侵略した」とためらいなく言っているが、日本の現役大使が「日本は侵略した」などと発言したら、自虐だ、売国奴だと罵倒され職に留まることはできないだろう。
日本もかっての政権は、隣国に対するに自制をもって処した。自制がなくなったのは小泉政権以降である。安倍政権になってそれは更に過激の度を加えた。歴史を否定し隣国とあえて波風をたてて、彼らは一体何を得ようというのだろうか。
「平和ボケ」と言うのは元来、左翼へのレッテルであるが、彼らは、「タカ派の平和ボケ」である。戦時体験のない彼らは、戦争のない平和な時代の中でボケて、戦争の悲惨さ、無意味さが分からないのだ。
石原の、外交問題に発展することを知りながらのこの行動は、無責任極まりない。国家の最高権力者たる首相がこれを抑止すべきであったが、そうすれば右翼だけでなく、自民党タカ派から轟々たる非難の声があがったであろう。
そして今、彼らタカ派の望みどおり尖閣を国有化した結果、それは中国の思うツボにはまり、政府は相手のペースに翻弄されているのである。
そこで右翼勢力はますますいきり立つ。「戦時中、戦争を煽ったのは新聞だ」と非難するその口で、売文業者があたかも戦争が始まるかのごとく緊張を煽っている。「日中関係の悪化で経済的に困るのは中国の方だ」とか、軍事評論家なる者までしゃしゃり出て「戦力は日本の方が上だ」とか稚児のような虚勢に陶酔している。そんなことは、防衛の制服組が黙って有事に備えていればいいことだ。
同じ敗戦国のドイツと比較すると、その振る舞いは大人と子供の違いだ。
フォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使は、「ドイツは近隣国に侵略した国として、戦後自分の考えを他国に押し付けるのを控えた。それは最初、政治家が選び取った戦略であったが、今はむしろ文化というべきでしょう」と語っている。ドイツには「自制の文化」があるというのだ(朝日新聞・2013年10月3日)。
シュタンツェル大使は「先の大戦で近隣国をドイツは侵略した」とためらいなく言っているが、日本の現役大使が「日本は侵略した」などと発言したら、自虐だ、売国奴だと罵倒され職に留まることはできないだろう。
日本もかっての政権は、隣国に対するに自制をもって処した。自制がなくなったのは小泉政権以降である。安倍政権になってそれは更に過激の度を加えた。歴史を否定し隣国とあえて波風をたてて、彼らは一体何を得ようというのだろうか。
「平和ボケ」と言うのは元来、左翼へのレッテルであるが、彼らは、「タカ派の平和ボケ」である。戦時体験のない彼らは、戦争のない平和な時代の中でボケて、戦争の悲惨さ、無意味さが分からないのだ。
by rakuseijin653
| 2013-12-14 08:00
| 政治
|
Comments(0)