2014年 01月 07日
万葉仮名と草仮名 |
われわれは日常、字体として、漢字、ひらがな、片かなを用いるが、書の世界ではこのほかに万葉仮名を母体として崩した「草仮名」を使う。
万葉仮名は、文字の意味に拘わらずに、日本語の一音節の表記のために用いられる。 記紀(古事記、日本書紀)や万葉集はこの万葉仮名で書かれている。確認されている万葉仮名の最も古いものは、稲荷山古墳で発見された5世紀の「金錯銘鉄剣」。難波宮跡では万葉仮名で書かれた652年以前の木簡が発掘されている。
書の世界で平安時代に創始され現在も使われる草仮名は、 「万葉仮名からひら仮名へ発達する中間段階として9世紀なかごろに用いられたが、10世紀以降、書道的意図から故意に複雑な字体の万葉仮名を草体化して単独で、または仮名とともに用いられ現代に及んだ」(大辞林)。
「平がなは簡素な形態なので、平がなだけでは作品の構成が単調になってしまうことがあります。とくに、同じ平がなが何度も繰り返して出てくると面白みに欠けるので、草がなを混ぜて使います。それによって視覚的にも変化に富み、行間の響きが生まれ、全体の構成が美しく整えることができるのです」(桑田三舟・『書の心 かなの美』・NHK[趣味悠々])
書道で用いられている草仮名の「いろは」は、主に以下の万葉仮名を母体としている。
い(以)、(意)、ろ(婁)、(路)、は(八)、(者)、(盤)、に(二)、(耳)、(尓)、ほ(本)、(保)、へ(邊)、(遍)、と(登)、(東)、ち(千)、(遅)、り(利)、(里)、ぬ(怒)、る(流)、(類)、
を(乎)、(越)、わ(王)、か(可)、(閑)、(賀)、よ(与)、た(多)、(堂)、れ(連)、(麗)、
そ(曽)、(所)、(楚)、つ(徒)、(都)、ね(年)、な(奈)、(那)、(難)、ら(良)、(羅)、
む(無)、(牟)、う(有)、ゐ(井)、の(能)、(農)、(乃)、お(於)、く(具)、(九)、(久)、
や(屋)、ま(万)、(萬)、け(介)、(遣)、(希)、ふ(婦)、(布)、(不)、こ(古)、(故)、 え(盈)、て(天)、(帝)、あ(阿)、さ(佐)、(沙)、き(支)、(起)、(幾)、ゆ(遊)、(由)、 め(免)、み(三)、し(志)、(新)、ゑ(衛)、ひ(比)、(悲)、も(毛)、(母)、
(裳)、せ(世)、(勢)、す(春)、(須)
草仮名(い、ろ、は、、、、、、、よ、た、れ)
(そ、つ、ね、ら、、、、、、も、せ、す))
*[具(く)]のヒゲは汚れです↑
今年の書初め
<朝日今のぼ(保)らむとして
紅に(二)
ひ(悲)が(可)しな(奈)か(可)ば(者)を(乎)そ(楚)め
ぼ(本)か(可)し(新)
たり(利)> 清水比庵
(桑田三舟・「書の心 かなの美」・[NHK趣味悠々]より)*比庵は三舟の師匠
万葉仮名は、文字の意味に拘わらずに、日本語の一音節の表記のために用いられる。 記紀(古事記、日本書紀)や万葉集はこの万葉仮名で書かれている。確認されている万葉仮名の最も古いものは、稲荷山古墳で発見された5世紀の「金錯銘鉄剣」。難波宮跡では万葉仮名で書かれた652年以前の木簡が発掘されている。
書の世界で平安時代に創始され現在も使われる草仮名は、 「万葉仮名からひら仮名へ発達する中間段階として9世紀なかごろに用いられたが、10世紀以降、書道的意図から故意に複雑な字体の万葉仮名を草体化して単独で、または仮名とともに用いられ現代に及んだ」(大辞林)。
「平がなは簡素な形態なので、平がなだけでは作品の構成が単調になってしまうことがあります。とくに、同じ平がなが何度も繰り返して出てくると面白みに欠けるので、草がなを混ぜて使います。それによって視覚的にも変化に富み、行間の響きが生まれ、全体の構成が美しく整えることができるのです」(桑田三舟・『書の心 かなの美』・NHK[趣味悠々])
書道で用いられている草仮名の「いろは」は、主に以下の万葉仮名を母体としている。
い(以)、(意)、ろ(婁)、(路)、は(八)、(者)、(盤)、に(二)、(耳)、(尓)、ほ(本)、(保)、へ(邊)、(遍)、と(登)、(東)、ち(千)、(遅)、り(利)、(里)、ぬ(怒)、る(流)、(類)、
を(乎)、(越)、わ(王)、か(可)、(閑)、(賀)、よ(与)、た(多)、(堂)、れ(連)、(麗)、
そ(曽)、(所)、(楚)、つ(徒)、(都)、ね(年)、な(奈)、(那)、(難)、ら(良)、(羅)、
む(無)、(牟)、う(有)、ゐ(井)、の(能)、(農)、(乃)、お(於)、く(具)、(九)、(久)、
や(屋)、ま(万)、(萬)、け(介)、(遣)、(希)、ふ(婦)、(布)、(不)、こ(古)、(故)、 え(盈)、て(天)、(帝)、あ(阿)、さ(佐)、(沙)、き(支)、(起)、(幾)、ゆ(遊)、(由)、 め(免)、み(三)、し(志)、(新)、ゑ(衛)、ひ(比)、(悲)、も(毛)、(母)、
(裳)、せ(世)、(勢)、す(春)、(須)
草仮名(い、ろ、は、、、、、、、よ、た、れ)
(そ、つ、ね、ら、、、、、、も、せ、す))
今年の書初め
<朝日今のぼ(保)らむとして
紅に(二)
ひ(悲)が(可)しな(奈)か(可)ば(者)を(乎)そ(楚)め
ぼ(本)か(可)し(新)
たり(利)> 清水比庵
(桑田三舟・「書の心 かなの美」・[NHK趣味悠々]より)*比庵は三舟の師匠
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by rakuseijin653
| 2014-01-07 08:00
| 美術
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