2014年 03月 06日
政府のエネルギー基本計画 |
政府は2月25日、原発を重要電源とする「エネルギー基本計画」を発表した。
これをうけて自民党は党内論議を行った。朝日新聞によると、冒頭で河野太郎議員が、「原発は過渡的な電源であると明記すべきだ」と主張したが、その流れにはならなかったようだ。推進派とかみ合うはずもなく、当然と言えば当然か。更に議論をして年度内(3月)の閣議決定が予定されている。
経済活動を支える電源として原発を安定電源とする、とはしたが、核燃料サイクルの要と位置付けられていた高速増殖炉「もんじゅ」については、見直しを余儀なくされた。河野太郎が、実用化のめどがたたない、とかねてよりその存在意義に疑問を提示してきた問題である。今回、当初の目標である「2025年ころまでに実証炉の実現、2050年より前に商業炉導入」は白紙になり、「増殖」という文言が削除された。新たに、「放射性廃棄物の減容化、有害度低減のための技術開発を推進する」役割に”用途変換”されることになった。 年間200億円の予算がつけられてきたので、廃炉というわけにはいかない事情があるのだろう。
原発依存度については、「可能な限り低減する」としただけで、電源構成に占める原発比率は明記されていない。
”トイレなきマンション”の状態が続いているなかで、ついに「もんじゅ」の稼働は諦めざるを得ない事態になったのである。世界各国が目指している手法は「地層処分」である。しかし我が国には、地震国という特殊性がある。
地球環境産業技術研究機構研究所山地憲治所長は我が国で地層処分を模索する立場から、「使用済み燃料をそのまま処分するにしろ、再処理後にガラス固化体の形にして処分するにしろ、リスクはゼロにはならないが、受け入れ可能なリスクの水準はあるはずだ」、「埋設する地層を注意深く選んで、放射性セシウムなどが容器から漏れ出た場合も、土壌と結合して移動しにくくなるような科学的な性質を備えた場所につくることによって、放射性物質が人間の生活圏までに移行してくるのに十分に時間がかかるようにできるはずだ」と言っている。
これに対し地層処分方法に懐疑的な法政大学船橋晴俊教授は、「いまある最良の科学知識を動員しても10万年もの間安定な地層を特定することはできない。その程度の知識で最終処分の場所を決めるのは無責任だ」、と述べている。それで、「数十~数百年は安定していると考えられる場所を選んで暫定保管するしかない」と同教授は日本学術会議で提言している。
地層処分するにしても、暫定保管するにしても、その場所の地域の合意を得るのは容易ではない。船橋教授は、「仮に脱原発で合意ができるなら、保管施設立地など個別の深刻な問題でも合意形成の道が開かれる」、「つまり、脱原発のスケジュールを明確にすることが処分問題の議論に入る前提になる」と主張する。
いずれにしても現状では、決定的な手法はないのだ。両氏とも将来の技術進歩に期待しているのである。地層処分がベターとする山地氏は、「将来の技術進歩の可能性を考えて、(地層処分したあと再び)回収するという可能性を考えるのも一理あると思う」と言い、船橋氏は、「300年くらい暫定保管するうちに、新しい技術や社会的仕組みが考え出され、いま考えている処分方法より望ましい手段が登場する可能性がある」と述べている(以上山地氏、船橋氏の引用は、日本経済新聞2013年12月22日)。
政府が「放射性性廃棄物の減容化と有害度低減」を目指して「もんじゅ」に託す技術開発も長い道のりになるのかもしれない。
これをうけて自民党は党内論議を行った。朝日新聞によると、冒頭で河野太郎議員が、「原発は過渡的な電源であると明記すべきだ」と主張したが、その流れにはならなかったようだ。推進派とかみ合うはずもなく、当然と言えば当然か。更に議論をして年度内(3月)の閣議決定が予定されている。
経済活動を支える電源として原発を安定電源とする、とはしたが、核燃料サイクルの要と位置付けられていた高速増殖炉「もんじゅ」については、見直しを余儀なくされた。河野太郎が、実用化のめどがたたない、とかねてよりその存在意義に疑問を提示してきた問題である。今回、当初の目標である「2025年ころまでに実証炉の実現、2050年より前に商業炉導入」は白紙になり、「増殖」という文言が削除された。新たに、「放射性廃棄物の減容化、有害度低減のための技術開発を推進する」役割に”用途変換”されることになった。 年間200億円の予算がつけられてきたので、廃炉というわけにはいかない事情があるのだろう。
原発依存度については、「可能な限り低減する」としただけで、電源構成に占める原発比率は明記されていない。
”トイレなきマンション”の状態が続いているなかで、ついに「もんじゅ」の稼働は諦めざるを得ない事態になったのである。世界各国が目指している手法は「地層処分」である。しかし我が国には、地震国という特殊性がある。
地球環境産業技術研究機構研究所山地憲治所長は我が国で地層処分を模索する立場から、「使用済み燃料をそのまま処分するにしろ、再処理後にガラス固化体の形にして処分するにしろ、リスクはゼロにはならないが、受け入れ可能なリスクの水準はあるはずだ」、「埋設する地層を注意深く選んで、放射性セシウムなどが容器から漏れ出た場合も、土壌と結合して移動しにくくなるような科学的な性質を備えた場所につくることによって、放射性物質が人間の生活圏までに移行してくるのに十分に時間がかかるようにできるはずだ」と言っている。
これに対し地層処分方法に懐疑的な法政大学船橋晴俊教授は、「いまある最良の科学知識を動員しても10万年もの間安定な地層を特定することはできない。その程度の知識で最終処分の場所を決めるのは無責任だ」、と述べている。それで、「数十~数百年は安定していると考えられる場所を選んで暫定保管するしかない」と同教授は日本学術会議で提言している。
地層処分するにしても、暫定保管するにしても、その場所の地域の合意を得るのは容易ではない。船橋教授は、「仮に脱原発で合意ができるなら、保管施設立地など個別の深刻な問題でも合意形成の道が開かれる」、「つまり、脱原発のスケジュールを明確にすることが処分問題の議論に入る前提になる」と主張する。
いずれにしても現状では、決定的な手法はないのだ。両氏とも将来の技術進歩に期待しているのである。地層処分がベターとする山地氏は、「将来の技術進歩の可能性を考えて、(地層処分したあと再び)回収するという可能性を考えるのも一理あると思う」と言い、船橋氏は、「300年くらい暫定保管するうちに、新しい技術や社会的仕組みが考え出され、いま考えている処分方法より望ましい手段が登場する可能性がある」と述べている(以上山地氏、船橋氏の引用は、日本経済新聞2013年12月22日)。
政府が「放射性性廃棄物の減容化と有害度低減」を目指して「もんじゅ」に託す技術開発も長い道のりになるのかもしれない。
by rakuseijin653
| 2014-03-06 08:00
| 政治
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