中学生のカバン |
以下、一部割愛して引用
「体調を崩した生徒を保健室から早退させる際、かばんがあまりにも重いので、体重計で量った。なんと10.4キロもあった。『これを毎日背負っているのか。大変だ』と思わず口に出た。大人が持ってもズシリとくる。このほかに、部活動用具のサブバックを持つこともあるというのに。
これまでも保護者会などで、重過ぎるかばんは成長期の子供に大きなダメージを与えるのではないかと指摘があった。学校も資料集の教室保管など、もってくるものを減らす工夫をしてきたつもりだ。なぜこんなに重いのだろう。
考えられるのは、教科書などの大きさの変化だ。B5判からA4判になり、さらに写真などが増え、厚くなった。ノートもA4判が増えているようだ。
教科書を上巻と下巻に分けてつくってもらえないだろうか。そうすれば、教科書の重量は半減される。成長期の子供が10キロにもなるかばんを毎日持ってくる苦しさを考えたとき、すぐに対応すべき課題であると思う。国や教科書会社の英断を期待したい」
この投書に反応して3月1日の同欄に、やはり10キロのかばんを毎日背負っているという東京都の女子中学生が、「私たち中学生と同じようなお考えの先生もいらっしゃると知り、うれしくなりました」と、教科書を上下巻に分けることに賛同の投書をしている。
近年の教科書は、写真などの挿入が豊富で紙質もよく、むかしの教科書に比べ重くなっている。それは小学校用の教科書も同じだ。孫が小学4年生のころにも、こんなに重いランドセルを背負わせるのは酷なのではないかと思ったことがある。中に詰め込んだ教科書の量が多くて重いだけでなく第一、ランドセル自体が重過ぎる。ジジババが孫の新入学にランドセルをプレゼントするという悪しき慣習のために、高価イコール重量化になっている。 こんな国は世界にありはしない。
余談になったが、近年の教科書は、「華美」という表現は必ずしも当たらないにしても、はなはだ立派なものになった。先般、出版社による教育委員や教員への金銭や金券授与などの“買収合戦”が報じられた。出版社の競争が激しいことで立派な教科書の製作を競い、それも教科書が重くなっていることと無縁ではないのでは、と思ったりもするのである。
ちなみにこの投書の後、孫のカバンを体重計で量ってみたら7.5キロであった。それでも大人にもズシリとくる重さである。彼に女子中学生の投書を読ませてどう思うかと聞いたら一言、「わがまますぎる」と。これが男の逞しさなら結構だが、彼がまだ大人(先生)の言うことに素直に従う“反抗期前”?だからであろうか。
それにしても、現場の教師をはじめ関係者が、学童に過剰な負担を課しているこの問題に無自覚なのはどうしたことか。くだんの投書の教員は、保護者会でも指摘されたというが、それっきり終わっているというのも理解できないことだ。この投書が全国的に一つのうねりを呼び起こすことになればいいが、校内の教員とともに地元の教育委員会に直に訴えるなど実効ある動きをなすべきであろう。
この問題だけでなく、ころころ変わる大学入試センター試験にしても、厳寒期の入学試験にしても、日本の教育関係者は、例えばアメリカと比較すると、生徒、学生の立場にたった学校行政をあまり考えていないと思う。
小中学生が通学するときの荷物の重さを懸念する声が出るなか、文部科学省は6日、全国の教育委員会などに対し、重量などに配慮するよう求める通知を出した。子どもの発育状況や通学環境に合わせ、学校側の工夫を促す狙いがあるという。
全国では既に、宿題に使わない教科書を学校に置いて帰る「置き勉」を認めたり、特定の日に持ち物が偏らないよう、数日に分けて持ってくるよう指導したりしている学校がある。通知ではこうした取り組みを紹介し、「必要に応じ適切な配慮」を求めている。文科省の担当者は「『置き勉』を一律に推奨するわけではないが、子どもや地域の実態を考慮し、各学校で知恵を出してほしい」と話す。
子どもの荷物が重くなっている背景には、小中学校の授業時間数の増加に伴い、教科書のページ数も増えていることがある。教科書協会によると、小学1~6年生の教科書は合計6518ページ(2015年度)、中学1~3年生の合計は5783ページ(16年度)で、それぞれ10年前と比べて約3割増えている。ランドセルメーカーのセイバン(兵庫県)が今年3月、小学生の母子2千組を対象に調べたところ、最も荷物が重い日は平均で約4・7キロあり、ランドセルの重さを含めると約6キロの荷物を背負っていた。また、首などに何らかの痛みを訴える子どもが約3割いたという。(矢島大輔)
~ ~ ~ ~ ~ ~九州はだいぶ暖かくなってきました。
中学生のカバンが重い、まったく同感です。長男が中一で背が小さいのに、1.8kmの通学路を10kg超えのカバンを背負って往復しています。毎日が歩荷訓練のようです。体力はついたようですが、成長に悪そうです。
ところで、5月の上江津湖はいいですよ(笑
コメントありがとうございます。
山川は接待は一切しない方針で、広域採択制度が始まって以来、小中学校事業から撤退せざるを得なくなりました。3年前、教科書の採用をめぐる教員などへの謝礼問題が浮上しました。この問題の根っこは、かなり以前からあったのです。(日本経済新聞夕刊コラム)