2016年 11月 06日
オペラ鑑賞のTPO・米欧人の違い |
そのむかし、ウイーンのオペラハウス(国立歌劇場)で『アイーダ』を観たときのことである。幕間の休憩時間にビュッフェコーナーに向かったら、女性はイブニングドレス、男性はブラックタイの服装ばかりで、普通のスーツ姿であった自分はたじろいでしまい、中に入るのを止めたことがある。(ビュッフェコーナーと言っても、日本のコンサートホールのような、ロビー風ではなく、扉はないものの仕切られた部屋のような形状である)。その数年後、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でもオペラを観たのだが、こちらはスーツすら身に着けないいたってカジュアルな服装が多くて、その“落差”に軽い驚きを感じたものである。こんなところにも伝統国と“成金国”の違いをみるような気がするのである。
ネットを覗いて観ると、ウイーンのオペラハウスでは、観客席の場所によってドレスコードが違うらしい。イブニングドレスの女性たちは、高額の席の人たちだったのだろう。このとき手にしたチケットは、宿泊していたホテルで求めた当日券のせいかあまりいい席ではなかったのだが、それでも隣の母子3人連れの中学生と高校生とおぼしき息子2人がともにブラックタイ(日本語では蝶ネクタイのこと)をしていて(母親の方はイブニングドレスではなかったが)、さすが本場のオペラ鑑賞は違うと感じていた。
そんなところへ若い日本人のカップルが、旅行の途次ではあろうがジーパンにスニーカー、Tシャツまがいの服装で、しかも演奏の途中に入ってくるさまを見ると、同胞としても思わず顰蹙感を抱かざるを得なかった。開演後は日本でも入場禁止だが、彼らは旅先でせっかく得た機会を理由に、係員に無理を懇願したのではと想像する。先のネットサイトには、「どの席種であってもスニーカーやTシャツ、デニムのジーンズなどはNGですので、お気を付けください。」とある。
カップルと言えば、ドイツ・ローテンブルグの小さなホテルで、到着した時はカジュアルな服装だった若いカップルが、夕食のダイニングに正装で現れたときは、これが西欧風のマナーなのかと、そのことに無頓着な自分にある種の恥じらいを覚えたことがある。
一方ニューヨークの歌劇場では、1階の席でも女性のイブニングドレス姿は見かけなかったような印象だし、男性は夏など柄物の半袖シャツ姿も多く見かけたように思う。とにかく東京の銀座通りにあたる五番街で上半身裸の男が歩いていても、誰も気にしない国である。そこまでいけば品がないと言えばそうだが、アメリカとはそういう国なのだ。
しかし、アメリカ人が全くTPOを気にかけないかと言えば、もちろんそんなことはない。ちょっとしたレセプションでは、招待状に「ブラックタイ着用」と指定されてくる(その<ちょっとした>の基準についての知識はないのだが)。高校の卒業パーティでは、男子生徒はスーツにブラックタイで身をつつみ女子生徒も最高のおしゃれで身を装う。隣人をニュージャージー州の和食レストランに誘ったときは、こちらがカジュアルないでたちであったのに、先方の家族がそろってきっちりした装いで家から出てきて面食らったことがある。
だが米欧の間には例えばテニスの世界をみても、全英オープンでは白のユニフォームが規定されているのに対し、全米オープンでは何色も自由で規制されていない、というほどのTPOの違いは存在するのである。
ウイーン国立歌劇場
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ネットを覗いて観ると、ウイーンのオペラハウスでは、観客席の場所によってドレスコードが違うらしい。イブニングドレスの女性たちは、高額の席の人たちだったのだろう。このとき手にしたチケットは、宿泊していたホテルで求めた当日券のせいかあまりいい席ではなかったのだが、それでも隣の母子3人連れの中学生と高校生とおぼしき息子2人がともにブラックタイ(日本語では蝶ネクタイのこと)をしていて(母親の方はイブニングドレスではなかったが)、さすが本場のオペラ鑑賞は違うと感じていた。
そんなところへ若い日本人のカップルが、旅行の途次ではあろうがジーパンにスニーカー、Tシャツまがいの服装で、しかも演奏の途中に入ってくるさまを見ると、同胞としても思わず顰蹙感を抱かざるを得なかった。開演後は日本でも入場禁止だが、彼らは旅先でせっかく得た機会を理由に、係員に無理を懇願したのではと想像する。先のネットサイトには、「どの席種であってもスニーカーやTシャツ、デニムのジーンズなどはNGですので、お気を付けください。」とある。
カップルと言えば、ドイツ・ローテンブルグの小さなホテルで、到着した時はカジュアルな服装だった若いカップルが、夕食のダイニングに正装で現れたときは、これが西欧風のマナーなのかと、そのことに無頓着な自分にある種の恥じらいを覚えたことがある。
一方ニューヨークの歌劇場では、1階の席でも女性のイブニングドレス姿は見かけなかったような印象だし、男性は夏など柄物の半袖シャツ姿も多く見かけたように思う。とにかく東京の銀座通りにあたる五番街で上半身裸の男が歩いていても、誰も気にしない国である。そこまでいけば品がないと言えばそうだが、アメリカとはそういう国なのだ。
しかし、アメリカ人が全くTPOを気にかけないかと言えば、もちろんそんなことはない。ちょっとしたレセプションでは、招待状に「ブラックタイ着用」と指定されてくる(その<ちょっとした>の基準についての知識はないのだが)。高校の卒業パーティでは、男子生徒はスーツにブラックタイで身をつつみ女子生徒も最高のおしゃれで身を装う。隣人をニュージャージー州の和食レストランに誘ったときは、こちらがカジュアルないでたちであったのに、先方の家族がそろってきっちりした装いで家から出てきて面食らったことがある。
だが米欧の間には例えばテニスの世界をみても、全英オープンでは白のユニフォームが規定されているのに対し、全米オープンでは何色も自由で規制されていない、というほどのTPOの違いは存在するのである。
ウイーン国立歌劇場
by rakuseijin653
| 2016-11-06 11:51
| 雑記
|
Comments(2)
Commented
at 2016-11-13 12:18
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
rakuseijin653 at 2016-11-14 21:12
かくびんた さま
コメントありがとうございます。
2月の投稿で、「トランプが民主党候補を破って大統領になるのだろうか」と書きましたが、まさか現実になるとは思いませんでした。総得票数ではクリントンが上回っており、マイケル・ムーアは勝者総取りの選挙制度がおかしいと言っていますね。この制度は交通や通信が十分でなかった建国の18世紀につくられたもので、現代にはそぐわないという意見もあるようです。安倍首相が日韓関係を悪化させたときオバマは仲直りの仲介をし、日中関係を緊張させたとき安倍首相に自制を求めました。しかしトランプはそういうことはせず、勝手にやってくれという姿勢をとるのではないでしょうか?そこに中国がつけこんで、尖閣などで強硬姿勢をとってくるかもしれません。
コメントありがとうございます。
2月の投稿で、「トランプが民主党候補を破って大統領になるのだろうか」と書きましたが、まさか現実になるとは思いませんでした。総得票数ではクリントンが上回っており、マイケル・ムーアは勝者総取りの選挙制度がおかしいと言っていますね。この制度は交通や通信が十分でなかった建国の18世紀につくられたもので、現代にはそぐわないという意見もあるようです。安倍首相が日韓関係を悪化させたときオバマは仲直りの仲介をし、日中関係を緊張させたとき安倍首相に自制を求めました。しかしトランプはそういうことはせず、勝手にやってくれという姿勢をとるのではないでしょうか?そこに中国がつけこんで、尖閣などで強硬姿勢をとってくるかもしれません。
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