2017年 05月 16日
「幸せだから笑うのではない」 |
「幸せだから笑うのではない」とは、フランスの哲学者アラン(1868~1951)の言葉である。「笑うから幸せなのだ」と続く。著書「幸福論」のなかの一章『友情』の一文にある。
「笑う」という精神作用が生命力に関係するというこの哲学論を、「病理論」として証明した遺伝子学学者がいる。村上和雄筑波大学名誉教授(1936~)である。
遺伝子といえばわれわれは、性格や背丈など親から子へ伝達される遺伝子を想起するが、村上教授によれば遺伝子にはもう一つの働きがあって、それは「『いま現在の生命』のすべての営みを正常に保持する生命力の源」であるという。この遺伝子は、環境の変化や刺激などに影響を受け、その機能が活発になったり不活発になったりする性質をもっている、と説明している。これが意味するところは、例えばストレスは悪い遺伝子のスイッチをオンにして「正常な生命力を阻害し(→病)」、「陽気な心」がいい遺伝子のスイッチをオンにして「生命力を活性化する」ということである。
ここから「笑い」はいい遺伝子を活発にすると導かれる。そのことを村上教授は吉本興行と協同で実証した。著書「アホは神の望み」(サンマーク出版2008年)で紹介している。
「笑うことがある病状を好転させることが確かめられれば、心と遺伝子の関係――心のどんな働きがどんなスイッチを入れるか――を示す一つの例証になるのではないか。こうした仮説に基づいて、二十五名ほどの糖尿病の患者さんに被験者として集まってもらい、吉本興業所属の漫才師の話を聴いて大いに笑ってもらったあと、その血糖値を測定して、その数値にどのような変化があらわれたかを調べた。
一日目は被験者に昼食のあとで、糖尿病に関する大学の先生による講義を聴いてもらい、翌日には、やはり昼食後の同じ時間帯に前日と同じ時間だけ漫才師による漫才を聴いて、大いに笑ってもらった。二日間の食事内容や日常生活などは変わらず、違っているのは退屈な講義かおもしろい漫才かだけ。
そして、それぞれの前と後に、血糖値を測定して比較した結果、初日の「退屈な講義」後の血糖値が、血液100mlあたり平均123mgも上昇していたのにたいし、翌日の「おもしろい漫才」で笑ったあとは77mg程度におさえられていた。
その差、46mgは明らかに誤差の範囲を超える、有意の差といえる。笑うだけで血糖値が劇的に下がった事実に、専門医も非常に驚いていた。この実験結果はアメリカの糖尿病学会誌に掲載され、ロイター通信によって全世界に発信されたことにより海外からも注目を集めている」
村上教授の話は更に次のような“夢物語”に発展する。
「笑いの遺伝子のON/OFFにどのように働きかけ、健康・病気にどういう影響を与えているのかが解明されていけば、やがて医師から、薬の代わりに『笑い』が処方される時代がくるかもしれない。『今月から、食後三回の薬をやめて、四六時中、大きな声で笑うようにしてください』といったように。
これを『そんなアホな』とばかりヨタ話扱いするのは正しくない。私たちの研究によって、たとえば人間の遺伝子約四万個の中から、笑いで働きが大きく変化した遺伝子が多数見つかり、そうした笑いと遺伝子の研究によって世界初の博士号を受けた研究者もいるからだ」
なお上掲の「アホは神の望み」は、「小利口でこざかしい知識や知恵、速度や効率、駆け引きや計略、私利私欲や傲慢さ、おごりや増長、攻撃性や支配性、鋭いが冷たい理知、そういうものには無縁か、距離を置きながら、目に見えないものを信じ、先を急がず、ゆったりかまえ、学問や知識は多くなくても、自分の信じる道を地道に進み、手間を惜しまず、回り道を厭わない、器の大きなアホであれ」と人生を説いた書である。
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「笑う」という精神作用が生命力に関係するというこの哲学論を、「病理論」として証明した遺伝子学学者がいる。村上和雄筑波大学名誉教授(1936~)である。
遺伝子といえばわれわれは、性格や背丈など親から子へ伝達される遺伝子を想起するが、村上教授によれば遺伝子にはもう一つの働きがあって、それは「『いま現在の生命』のすべての営みを正常に保持する生命力の源」であるという。この遺伝子は、環境の変化や刺激などに影響を受け、その機能が活発になったり不活発になったりする性質をもっている、と説明している。これが意味するところは、例えばストレスは悪い遺伝子のスイッチをオンにして「正常な生命力を阻害し(→病)」、「陽気な心」がいい遺伝子のスイッチをオンにして「生命力を活性化する」ということである。
ここから「笑い」はいい遺伝子を活発にすると導かれる。そのことを村上教授は吉本興行と協同で実証した。著書「アホは神の望み」(サンマーク出版2008年)で紹介している。
「笑うことがある病状を好転させることが確かめられれば、心と遺伝子の関係――心のどんな働きがどんなスイッチを入れるか――を示す一つの例証になるのではないか。こうした仮説に基づいて、二十五名ほどの糖尿病の患者さんに被験者として集まってもらい、吉本興業所属の漫才師の話を聴いて大いに笑ってもらったあと、その血糖値を測定して、その数値にどのような変化があらわれたかを調べた。
一日目は被験者に昼食のあとで、糖尿病に関する大学の先生による講義を聴いてもらい、翌日には、やはり昼食後の同じ時間帯に前日と同じ時間だけ漫才師による漫才を聴いて、大いに笑ってもらった。二日間の食事内容や日常生活などは変わらず、違っているのは退屈な講義かおもしろい漫才かだけ。
そして、それぞれの前と後に、血糖値を測定して比較した結果、初日の「退屈な講義」後の血糖値が、血液100mlあたり平均123mgも上昇していたのにたいし、翌日の「おもしろい漫才」で笑ったあとは77mg程度におさえられていた。
その差、46mgは明らかに誤差の範囲を超える、有意の差といえる。笑うだけで血糖値が劇的に下がった事実に、専門医も非常に驚いていた。この実験結果はアメリカの糖尿病学会誌に掲載され、ロイター通信によって全世界に発信されたことにより海外からも注目を集めている」
村上教授の話は更に次のような“夢物語”に発展する。
「笑いの遺伝子のON/OFFにどのように働きかけ、健康・病気にどういう影響を与えているのかが解明されていけば、やがて医師から、薬の代わりに『笑い』が処方される時代がくるかもしれない。『今月から、食後三回の薬をやめて、四六時中、大きな声で笑うようにしてください』といったように。
これを『そんなアホな』とばかりヨタ話扱いするのは正しくない。私たちの研究によって、たとえば人間の遺伝子約四万個の中から、笑いで働きが大きく変化した遺伝子が多数見つかり、そうした笑いと遺伝子の研究によって世界初の博士号を受けた研究者もいるからだ」
なお上掲の「アホは神の望み」は、「小利口でこざかしい知識や知恵、速度や効率、駆け引きや計略、私利私欲や傲慢さ、おごりや増長、攻撃性や支配性、鋭いが冷たい理知、そういうものには無縁か、距離を置きながら、目に見えないものを信じ、先を急がず、ゆったりかまえ、学問や知識は多くなくても、自分の信じる道を地道に進み、手間を惜しまず、回り道を厭わない、器の大きなアホであれ」と人生を説いた書である。
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by rakuseijin653
| 2017-05-16 08:00
| 思想
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