2015年 11月 16日
京都四条通<before&after> |
京都四条通<before> 四条通<after> 上の2枚の写真は、京都四条通の同じ場所を2009年7月と2014年9月に撮影したもの、<before&after>である。比較して、おびただしい屋外看板が消えてすっきりした景観になっていることが分かる。ここに至るまでに、昭和31年(1956年)から2014年まで実に60年ほどの年月を要している。2020年にオリンピックを迎える東京も、少しは見習った方が良いと思うが、関係者にそのような動きはあるのだろうか。
アメリカの旅行雑誌Travel+Leisureが毎年夏発表するWorld's Best Awardの Top Citiesに京都が昨年に続き1位にランクされた。この雑誌は、アメリカの富裕層を主なターゲットにして月刊100万部を発行しており、ランクは読者投票によるもの。もちろん、賞の対象は景観だけでなく、京都流の行き届いた「おもてなし」など総合的に観光客によい印象を与えたことによるが、受賞は京都市が景観一新に取り組んできた成果と期せずして合致したということになる。
京都市の景観への取り組みは、昭和31年の屋外広告物条例制定に遡る。しかし実効は乏しく、2007年条例を大幅に改正した「京都市屋外広告物条例」により、看板の大きさ、色を規制、市全域で屋外広告や点滅式照明のついた広告を禁止することにしたのだ。 新条例は、景観、デザイン、建築家などの専門家だけでなく、法律、文化芸術、経済界などからなる審議会を経て制定された。7年の経過措置を設け2014年9月には完全実施に到達したという。こういう場合障害になるのが、既成看板の改修、撤去に伴う費用の負担であるが、京都市は全額自己負担とした。なかには100万円以上の撤去費用を負担してまで協力したケースもあったという。そのような市民が一丸となって、古都京都の景観を守るという理念に賛同した結果であり、大いに他の模範となりうるモデルと言えよう。
「清潔ではあるが美しくない日本」(*)で書いたように、欧米の都市に比べて日本の都市が屋外広告物で溢れていることに対して、日本人はあまりにも無感覚である。香港や台湾、韓国の都市でも同じような景観が見られるので、これは東洋的な独特のセンス?なのかもしれない。東京で言えば、浅草、新宿、渋谷などの繁華街では屋外看板の類も街の賑わいを表す”物”として割り切る見方もあろうが、銀座通りなど繁華街以外の大通りでは、京都市に習って屋外広告物のないすっきりした都市景観を実現したいものだ。それが、日本人の美的センスの成熟度を表すものとなるであろう。
<ワールドベストシティ 上位10 都市>[評価基準:風景/旧跡・名所、文化/芸術、レストラン/食べ物、人、買い物、価値]
1位 京都(日本) 91.22 点
2位 チャールストン(アメリカ) 89.84 点
3位 シェムリアップ(カンボジア) 89.57 点
4位 フィレンツェ(イタリア) 89.43 点
5位 ローマ(イタリア) 88.99 点
6位 バンコク(タイ) 88.91 点
7位 クラクフ(ポーランド) 88.69 点
8位 バルセロナ(スペイン) 88.59 点
9位 ケープタウン(南アフリカ) 88.27 点
10位 エルサレム(イスラエル) 88.18 点
*この稿は主として、株式会社ネクスト 「Home's Press」に頼った(画像も)。http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00154/
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アメリカの旅行雑誌Travel+Leisureが毎年夏発表するWorld's Best Awardの Top Citiesに京都が昨年に続き1位にランクされた。この雑誌は、アメリカの富裕層を主なターゲットにして月刊100万部を発行しており、ランクは読者投票によるもの。もちろん、賞の対象は景観だけでなく、京都流の行き届いた「おもてなし」など総合的に観光客によい印象を与えたことによるが、受賞は京都市が景観一新に取り組んできた成果と期せずして合致したということになる。
京都市の景観への取り組みは、昭和31年の屋外広告物条例制定に遡る。しかし実効は乏しく、2007年条例を大幅に改正した「京都市屋外広告物条例」により、看板の大きさ、色を規制、市全域で屋外広告や点滅式照明のついた広告を禁止することにしたのだ。 新条例は、景観、デザイン、建築家などの専門家だけでなく、法律、文化芸術、経済界などからなる審議会を経て制定された。7年の経過措置を設け2014年9月には完全実施に到達したという。こういう場合障害になるのが、既成看板の改修、撤去に伴う費用の負担であるが、京都市は全額自己負担とした。なかには100万円以上の撤去費用を負担してまで協力したケースもあったという。そのような市民が一丸となって、古都京都の景観を守るという理念に賛同した結果であり、大いに他の模範となりうるモデルと言えよう。
「清潔ではあるが美しくない日本」(*)で書いたように、欧米の都市に比べて日本の都市が屋外広告物で溢れていることに対して、日本人はあまりにも無感覚である。香港や台湾、韓国の都市でも同じような景観が見られるので、これは東洋的な独特のセンス?なのかもしれない。東京で言えば、浅草、新宿、渋谷などの繁華街では屋外看板の類も街の賑わいを表す”物”として割り切る見方もあろうが、銀座通りなど繁華街以外の大通りでは、京都市に習って屋外広告物のないすっきりした都市景観を実現したいものだ。それが、日本人の美的センスの成熟度を表すものとなるであろう。
<ワールドベストシティ 上位10 都市>[評価基準:風景/旧跡・名所、文化/芸術、レストラン/食べ物、人、買い物、価値]
1位 京都(日本) 91.22 点
2位 チャールストン(アメリカ) 89.84 点
3位 シェムリアップ(カンボジア) 89.57 点
4位 フィレンツェ(イタリア) 89.43 点
5位 ローマ(イタリア) 88.99 点
6位 バンコク(タイ) 88.91 点
7位 クラクフ(ポーランド) 88.69 点
8位 バルセロナ(スペイン) 88.59 点
9位 ケープタウン(南アフリカ) 88.27 点
10位 エルサレム(イスラエル) 88.18 点
*この稿は主として、株式会社ネクスト 「Home's Press」に頼った(画像も)。http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00154/
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by rakuseijin653
| 2015-11-16 08:00
| 美観
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